個人で事業をする人はどんな税金を納めるのか~フリーランスのための税務会計講座(2)

前回の記事では、会社員をやめて個人で事業を納める場合には税金を払わないといけない、ということを書きました。今回は、個人が納めるべき税金の話をば。

所得税

個人で事業を始めた時に、まず最初に考えないといけないのは所得税です。所得税とは、所得、個人が給与をもらったり、事業でかせいだり、土地を売ったりして、お金を稼いだときに、そこから得られた利益に対してかかる税金です。税務上の用語として、利益のことを所得といいます。その所得にかかる税なので、所得税と。

所得税の特色として、利益の源泉を10個に分類して、その利益の性質に応じて税金のかけ方を変えています。具体的には、給与所得、不動産所得、事業所得、譲渡所得、退職所得、山林所得、一時所得、雑所得、利子所得、配当所得の10種類。そのうち、フリーランスの方が自分の事業から利益を得た場合には、事業所得に該当します。

もう一つの留意事項は累進課税であること。獲得された所得の金額に応じて異なる税率が適用されます。課税される所得の金額が195万円以下の場合は5%,  195万円~330万円の時は10%、その後所得の金額が増加するごとに税率は上昇します。注意したいのは、例えば300万円所得が発生した場合には、300万円すべてに対して10%の税率が適用されるのではなく、195万円までは5%、その金額か300万円までに適用される税率が10%となります。

ちなみに、親類縁者が亡くなり相続という手続で財産を得た場合、もしくは、まだ生きている人から財産を贈与された場合は、それぞれ相続税、贈与税という税金がかかります。所得税の本来的な考え方からすると、こういった事象から得られた利益についても所得税をかけるべきですが、法律上は相続税や贈与税の対象となる場合は所得税はかからないとされています。

地方税

所得税というのは、国税であり、国家に納めるべき税金です。この他、県や市といった、地方公共団体に収めるべき税金、というのも存在します。個人住民税、個人事業税、といったのがそれにあたります。とはいえ、一般に地方税は所得税を基礎に課税されるので、確定申告ではなく、申告した所得税等の金額に応じて地方公共団体が勝手に納付する税金を計算して、請求書を送りつけてくる、というところが特徴です。自分で計算をしない、というところが一つ特徴になります。

法人税、消費税

法人税や消費税は個人というよりむしろ、法人(つまり会社組織)となった場合に考慮する必要があるものです。法人税は個人ではなく、法人に対する所得に対して課税されるものです。同じ、所得税とおなじく「所得」に対して課税されるものですが、法人と個人の違いにより、その計算方法は異なります。

また、消費税は取引に対してかかる税金です。厳密にいうと、個人事業者でも消費税を納めなくてはならないことはありますが、個人事業者で消費税を納めている人は少ないです。逆に、消費税を納めることが必要になりそうなときに、法人に切り替えるのが一般的です。

法人税や消費税については、個人から法人になるときのタイミングを検討することになります。これについては、項を改めて解説するようにします。

まとめ

個人で事業を始めた人が、まず気にしたいのが所得税です。それに伴い、個人住民税の納付金額が決まります。法人にする場合には、法人税や消費税について検討する必要があるでしょう。もちろん、このほかにも固定資産税や印紙税など種々の税金がかかります。主だったものとしては、上記のとおりとなります。

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