経営者か職人か~会計人として独立したときの方向性

職業会計人、公認会計士や税理士が独立する、という場合は、職人として生くべきか、それとも、経営者といくべくか、という二つの方向があります。得失はどちらもあるのですが、大切なことは自分はどちらを志向するか考えるべきでしょう。

経営者としての道

経営者として生きる、従前の会計事務所のビジネスモデルはこちらに近いような気がします。つまり、従業員を雇い、お客様を増やし、売上/利益を拡大していく、という方向性になります。そうした場合、従業員に任せられるところは任せるようになり、自分自身は戦略、採用、マーケティング、というようになり、自分自身で手を動かし複雑な会計事象や税務事象に対峙することは減っていきます。つまり、職人ではなく、経営者としての動きをするようになります。

職人としての道

職人として生きる、最近、はやりのフリーランスのように、人を雇わずに自分でやる、という、モデルです。この場合、従業員を雇わないので、全てのことを自分で対応するようになります。よくある、「担当者ではなく、税理士XXXが対応します。」というのは、職人タイプの人を象徴しています。

もちろん、業務が大きくなったりした場合、バックオフィス的なことは外注に出したり、その部分は人を雇用したりしますが、業務の根幹である、お客さん対応やサービスの提供は人には任せません。

職人としての道を選んだ場合、規模を大きくできないので、自分で手を動かし、その分単価をあげていく、ということになります。採用するとしても、かなり人を選ぶことになるので、規模の拡大、という点では遅れるようになります。

どちらにすべきか

経営者として生きるか、職人として生きるか、どちらがいいのか、というと場合によりけり、なところはあります。とはいえ、いくつかチェックポイントがあるのでは。

まずは、自分がどちらが好きか。経営やマーケティングをやりたいのか、それとも、あくまでも職人として手を動かすことにこだわるのか。

人との関係性。人と仕事をするのが好きか、それとも一人で仕事をすることが好きか、というところでしょう。人を雇うことには責任も生じるので、そういった責任を引き受けるのが嫌な人は職人志向となります。

それと、自分の興味範囲以外であれば、一人で始めるか、複数で始めるか。最初から一人で始めれば、全てのことを一人でやらないといけません。そこから、人を雇って経営者としての道を歩むか、それとも、ずっと一人で職人をするのか、ことを時間をかけて選んでいくようになります。逆に、ある程度、地盤のあるところに飛び込んだ場合には、経営者性を意識しないといけないでしょう。

まとめ

会計人として、会社員をやめる場合、というのは、経営者、職人ということを常に意識する必要があります。

経営者、職人というのはぱっくり分かれるものではなく、比重の問題、というところもあります。職人志向であっても、人を雇えば、その人のマネジメントを考えないといけません。また、経営者であっても、自分で手を動かすこともあるし、当然、会計人として会計税務の知識にキャッチアップしなくてはならないこともあるでしょう。

そのため、両方を意識する必要はあるのですが、自分としてどのようにバランスを取るか、ということが大切なのかな、という感じです。

 

 

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