アルジャジーラから世界をのぞく(5)~イランとエジプトの融和

アルジャジーラから世界をのぞく、今回はイランとエジプトの融和しつつあることについて。イランは他のイスラム諸国とは少し違った立ち位置、状況で少し周辺各国からは浮きつつありました。でも、最近はそんなところも変わりつつあるようです。今回はそんな挿話を紹介します。

イランとエジプトの関係について

もともとのイランとエジプトの関係は非常に厳しいものだったようです。1979年のイラン革命以後、イランとエジプトの外交関係はぷっつりと切れてしまいます。その後、イランイラク戦争がおこった時にエジプトはイラク側を支援したことも、両国の関係の状況が見て取れます。その後、徐々にではあるものの、イラクとエジプトの関係はよくなりつつあり、例えば2003年にエジプトのムバラク大統領とハメネイ師が会見したり、ムルシ大統領はテヘランに訪問したりしていた。

その後、この記事が書かれた時点(2017年)においてイランとエジプトの関係は良好になるだろうという観測がなされています。エジプトはサウジアラビアとの関係上を配慮しつつも独自の外交色を出せるようになってきたこと。イランもエジプトもシリア危機において同じような建設的な役割を担うことができることであること。この問題については、両方が協力的な姿勢を見せているようです。イランの石油をエジプトのパイプラインを利用してヨーロッパに輸出するための対話が開始されたこと。観光や農業についても石油と同様に協力していこう、という姿勢が見えたことをあげています。

とはいえ、両国が完全に外交関係をオープンにするのは、まださきのようで、アナリストはイランがアラブ諸国に影響力を及ぼそうとしていることが関係改善の妨げになるであろう、と予測しています。

親記事リンク:http://www.aljazeera.com/indepth/features/2017/03/egypt-iran-thaw-relations-170306090741403.html

イランと周辺諸国との関係

イラン、周辺諸国から見ると少し浮いた立場にあり、それほど友好な関係とは言いにくいところがあります。1番大きな理由は、上にも紹介したイラン革命。これにより、イランの王政が否定され、宗教的指導者によりイランの統治が行われるようになります。多くのアラブ諸国は王政に近い政体をとっていたので、イラン革命の流れが広がることを恐れ敵視しました。その他、イランの国の特徴は、シーア派というイスラム教の中では少数派を国教としており、スンナ派を奉じている他のアラブ諸国とは宗教的にも相容れないところがあります。また、核開発疑惑などもあり、関係諸国からは敵視されるような状況が続きました。

とはいえ、イランと周辺諸国の関係は改善しつつあります。私見として、イランは産油国でもあり、内戦等も起こっていない、ということでそれなりに国力があり影響力もあります。そのため、イランを敵視するように仲良くしよう、という方向に意識が向いているのかな、、と思います。サウジアラビアもイランと協議を行い、イラン国民のメッカへの巡礼を認めるようになりました。これも、イランと関係諸国の関係が良好になっていることかと思います。

感想

中近東、お互いの国の状況や利害により、関係は不安定なものになりがちです。関係諸国が良好な関係を築くことにより、この地域の安定が図られる、そんな世界であったらと願うばかりです。

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