会計士と税理士の、会社を見るときの視点の違い

会計士と税理士、同じように会社の数字や会計について携わっているものです。会社の数字を見る際、どういうところを見ているか少し考えてみました。なお、ここでいう会計士は財務諸表監査に従事している人、税理士は典型的な中小規模や個人でしている税理士を指します。

税理士は記帳と申告を中心に

会社の数値を組むにあたって、会計帳簿への記帳と申告書の作成というプロセスに焦点を当てています。税理士もクライアントが作成した会計数値をチェックすることはありますが、その場合も帳簿に焦点を当てて、その前段のプロセスはそれほど気にはしません。記帳代行になった場合は、クライアントから証拠資料(預金通帳、請求書、領収書)を入手してそれをもとにクライアントの代わりに記帳を行います。背景としては、クライアントの規模的に全ての取引に対処することができるからなのかなと。そのため、会計帳簿を中心にしても差支えがない、となります。

また、申告書は、税理士にとって最終成果物です。結局、税理士の大きな役割のうちの一つとして、税務申告をすることがあります。申告書を作成することが業務の目的となり、結局、会計帳簿を作成するのも、申告書を作るためのプロセス、として処理されることが多いです。

会計士は全体を見て会計数値の妥当性を検証

会計士の場合は、会社を全体を見る、ような感じを受けます。具体的にいうと、会社の置かれているビジネス環境の分析や、会計に至るまでの販売や購買のプロセス、といったところまで検証します。これは、会計士が監査をするような会社は、規模が大きくて会計帳簿を全て見切れない、ところに起因します。なので、外部環境や会社の仕組み(この仕組みを内部統制といいます)を検証し、それにより間接的に会計数値の妥当性を確認します。

逆に、申告書についてはそれほど気にしません。もちろん、税金に関する項目(繰延税金資産、未払税金、法人等)も財務諸表を構成するので、ある程度の検証を行います。とはいえ、あくまでも財務諸表項目の一項目にすぎず、税金計算だけにフォーカスする、ということはないです。場合によって、税金計算は税務専門家にレビューをお願いしたりもするので、そうなるとますます税金については関心が薄くなる、ということになるでしょう。

まとめ

同じように会計を見ている、といっても、会計士と税理士ではその見るべきポイントが異なります。どちからかというと、会計士が広く浅く、税理士は深く広く、というような印象をもっています。業務の目的や、対象となるクライアントの規模が違うので、アプローチが異なる、というところがあるのかな、とは思っています。

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