会計士のキャリアを監査からスタートすることの意義

会計士のキャリアの始まり、それは会計監査からですよね。ただ、その他の選択肢もあるので、どうするか悩む人もいるかと思います。会計士になったら、まず監査、というのは当たり前なことですが、あえて、少し深掘りしてみることにします。

試験勉強は監査のための素地である

公認会計士になるためには、試験を突破する必要があります。ここで、試験勉強は監査を行うことを前提としてデザインされています。監査はもちろんのこと、財務会計、管理会計、会社法は監査をするためのベースとなります。税法も、法人税、消費税はそれぞれ未払法人税、未払消費税の監査に、個人所得税も預かり所得税の監査に反映します。選択科目は必ずしも監査には紐づかないかもしれませんが、全体的な傾向として、会計士の試験科目は監査をやるためにデザインされていると考えることができます。

監査は職業会計人としてのベースとなる

次に会計監査は会計人として活躍するための基礎となりえます。

監査をすると、そのキャリアの中で勘定科目を一通り見ることになります。例えば、一年目は、主に現金預金、借入金、その他資産、その他負債、営業外収益/費用等のいわゆるシンプルな勘定を担当します。2年目は売掛金、売上、買掛金、仕入という、いわゆるビジネス周りという勘定を。ビジネス周りだと、その会社の事業を理解していないと適切に監査できないので、会社の事業についての理解が進みます。3年目は税金、退職給付といった若干難しめな科目となってきます。年次と勘定科目の相関はファームや時代により若干のズレはあると思いますが、3~4年で一通りの勘定科目に関わることになります。

勘定科目を見る、ということは会計処理のみならずそれにまつわる管理手続も見るので、3~4年で会社の管理手続を一通り見ることになります。また、会社はなにをやっているの、各部門(経理、財務、営業、購買、、、)はなにをやっているの、ということも知ることが必要なので、その知識も得ることができます。

また、会社の状況/活動により、必要に応じて知識を得ていく必要があります。例えば、訴訟に巻き込まれたら事案や法令について知ることが必要でしょう。また、クライアントがM&Aをすれば、DDをすることもあるし、少なくとものれんの評価はする必要があります。海外に現地法人を出したら、その国での規制状況やマーケット情報を取得することが求められるかもしれません。このようにクライアントの活動により色々な知識を習得する必要があります。

その他、法人税/消費税の知識も身に付きます。それは、監査の中で、未払法人税や未払消費税の検証する際には、必要最小限、税法の規定や計算の仕組みを把握することが必要になるからです。

このように、監査をすると会計人としてベースがつくと思います。

キャリアの選択肢が色々と生じる

監査をすると、将来におけるキャリアの選択肢は比較的広いといえます。

まず、税務へ転身があります。この制度について批判はあるのですが、公認会計士の資格があると税理士登録することができます。税理士登録をすれば税務業務に従事することができます。それと監査実務の中で法人税/消費税はある程度取り扱うので素地はできます(とはいえ、実務をする上でより深掘りをする必要はあるようですが)。

監査の関連領域としてIPOやM&Aにおけるデューデリジェンスがあります。これはの分野も監査ではないのですが、監査の経験が非常に行きやすい業務です。その他、コンサルティングに移行する、一般事業会社の経理に従事する、独立する、といったように、将来的なキャリアには色々と広がりがあるところです。

もちろん、監査一筋、ということもあります。ただ、キャリアの広がり、というところは一つ心にとめておきたいところです。

独占業務である

財務諸表監査は会計士の独占業務です。そのため、会計士の資格を得たら、一回はやってみてもいいかな。ちなみに私も、最初に財務諸表監査を選んだのは、独占業務だし1回はやってみたい、というところが大きいです。

まとめ

試験勉強のつながりも、会計人としての基礎も、キャリアの選択肢も広がります。そのため、会計士だったら監査を選ぶ、ということが必然なんだろうな、と思います。会計士なので監査をするのは当たり前、といえばそうなのですが、当たり前なことこそ前提なり、背景を知っておいたほうがいいと思います。

 

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