ストレーツタイムズからアジアをのぞく(4)~”Make In India”の光と影

ストレーツタイムズからアジアをのぞく、今回とりあげるのはインドです。インドでは、”Make In India”、つまり、インドを物を作ろう!ということで、インド政府は様々な施策を打ち出しています。ところが、時としてこれこそが、インドの製造業にマイナスに作用している、というお話です。

Make In Indiaから導き出された非効率さ

Mr. Saurabh Ahuja が600USDくらいの3Dプリンターを中国から輸入しようとしたとき。結局、それ以外にも900 USDの費用を払い、かつ、3か月くらい待ちぼうけをくらってしまった。どうやら、輸入する際に膨大な量の資料の提出を要求され、さらには全ての部品の試験まで養成された。最後にはbribeまでしぶしぶ払ったと。

確かに、インドでは “Make In India”ということで、かつて、世界の工場といわれた中国からとって変わって、製造業を中心的な産業にしたい、という強い気持ちがあるようです。ところが、優遇政策は外国企業に焦点が当たってしまい、自国の特に中小の起業家たちにはなかなかその恩恵が届かない、ということがあるようです。

この他、インドの製造業を取り囲む課題としては、州や地方レベルでは、工場を起こすためには水や電気を安定的に確保しなくてはならない、また、政府当局からいくつもの許可申請や年次報告が求めれる、ということがあるようです。

結局、世界銀行の発表するEase of Doing Businessでは、190か国中130位と、結構、低い水準であり、なかなか、インドは事業がしやすい国だとは言えないような状況があります。

親記事リンク:http://www.straitstimes.com/asia/south-asia/small-businesses-mad-at-make-in-india

そもそもMake In Indiaとは

Make In Indiaとは、インドのモディ首相が2014年に公布した、外国の製造業の誘致策です。これは、上記に述べたとおり、中国が人件費の高騰等の理由により、世界の工場とは言われなくなりつつあります。その座を狙ってかかげたのがこのスローガンだといわれております。これにより、高い経済成長と安定的な雇用の確保が目的です。

主な政策としては、インドにおける事業開始手続の簡略化、新しいインフラ構築(スマートシティ、鉄道等)の構築、投資規制緩和、国により投資機会の創出などがあります。これにより、特に海外の企業がインドに生産拠点をおくことを狙っているようです。

当時は、このスローガンに対する見方は、悪くなかったようです。グーグルで検索してみると、この政策に対し、好意的な記述をするページが散見されました(例えば、HSBC投信が出しているこちらの記事:http://www.iyogin-sec.co.jp/market/market040/hsbc_201412.pdf)。

とはいえ、今、このような記事が出ているということは、機能していない面があるのかなと。インドは、中央が決めた政策が州、地方に浸透しにくいところがあるので、うまく浸透していない、ということがあるのでは。それと、外国企業よりで、現地の特に中小企業には恩恵が向かない、ということもあるのでしょう。

 

 

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