「燃えよ剣」から学ぶ組織論 (4) ~ No.2 の持つべき資質とは

「燃えよ剣」から学ぶ組織論。4回目の今日は、主人公である、土方歳三に焦点を当ててみようと思います。彼は、新選組の副長、つまり、No.2だったのですが、彼の特質を通じてNo.2はどうあるべきか、ということを考えてみましょう。

目立ちたがらない

No.2 として大切なことは、目立ちたがらないこと。つまり、大将を立てて自分は裏方となる、という心構えが必要です。これを表しているのが池田屋事件での一幕。原田佐之助が2階で戦っている近藤、沖田らを心配して土方にこう声をかけます。

「土方先生、二階は近藤先生と沖田、永倉の両君ぐらいでどうやら苦戦のようだ。土間は私がひきうけますから、様子を見にいらっしゃたらどうですか」

といった。が、歳三は動かなかった。副長としては階下をまもって近藤にできるだけ働きやすくさせ、この討入りで近藤の武名をいよいよあげさせようとした。近藤の名をいやが上にも大きくするのが、新選組のために必要だと思っていた。

このように、自分より局長である近藤の名前を上げようとします。このように組織のトップの名前があがると、対外的にも対内的にも大きな効果があります。そこをふまえて、大将をたてるようにふるまい、自分は裏方に徹することができる、ということはNo.2にあたり必要なことでしょう。

組織を作り上げたい

組織を作ることに執着を燃やす人、これはNo. 2向きです。というのは、組織は、存在するために目的が必要です。また、組織をひっぱっていくリーダーが必要となります。組織を作ることそのものでは、これらを供給することはできません。そのため、組織を作りたい人は、No.2となって、目的やリーダーは別の所から連れてくる必要があります。

これは、伊藤甲子太郎が入隊したときのこと、沖田が土方に大名になりたいのか、と聞かれていったのが次のセリフ

「なりたかねえよ。」「あたりめえだ。武州多摩の生れの喧嘩師歳三が、大名旗本のがらなもんか。おれがやりたいのは、仕事だ。」「立身なんざ」「考えてやしねえ。おれァ、職人だよ。志士でもなく、なんでもない。天下のことも考えねえようにしている。新選組を天下第一の喧嘩屋に育てたいだけのことだ。おれは、自分の分をしっている。」

とあります。この「新選組を天下第一の喧嘩屋に育てたい。」というのが歳三がしたいことです。このように、歳三は組織を作ることが好きなわけです。組織を作る、ということはNo. 2の大切な仕事であり、大将はもっとすべきことがあります。

ちなみに「おれがやりたいのは、仕事だ、立身なんざかんがえていやしねえ。」というのは、やっぱり、格好がいいですよね。

人を助けることが苦にならない

当たり前なことですが、大将を助けること、ということが好きであるということと、また、自分が助けたいと思う大将を持つことが大切です。

池田屋事件のあと、近藤が土方に言うには、

「おれの夢はね」と、近藤は、歳三にだけいった。「攘夷大名になることさ」わざわざ「攘夷」とつけたのは当時の志士気質からしたもので、大名になって外敵から日本を守りたいという野望が、池田屋ノ変での未曾有の手柄以来、近藤の胸にふくれあがりつつあった。「よかろう」歳三はいった。攘夷はどうこうは別として、風雲に乗じて大名になり、あわよくば天下をとるというのが、古来武士のならいである。決して不正義ではない。「私はあくまでも助ける」

というように、土方は自分が上になるのではなく、近藤を助ける、ということ心に思っているようです。このように大将をサポートすることが好きな人、苦にならない人はNo.2に向いているといえるでしょう。

まとめ

No. 2として必要な資質は、大将を立てることができる、組織を作ることそのものが好き、助けることが好きということです。やっぱり、自分が目立ちたがる人、大きな夢を持つ人、がトップとして組織に立つ人になるのでしょう。そういう人を支えるのが、No. 2の役割であり、それを楽しく思うことがNo. 2の資質ではと考えております。

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