決算書(財務諸表)を与えられたら、まず、どこを見るべきか?

みなさんも、得意先、取引先の決算書(財務諸表)を与えられて、「とりあえず、目を通しておくように。」といわれたりするとき、ありますよね。そんなとき、まず、どこを見るか、考えてみます。

ここでいう、決算書は、財務諸表である、貸借対照表と損益計算書を前提とします。キャッシュ・フロー計算書は会社によっては作っていない所もありますし、他の書類は貸借対照表と損益計算書を補完するものなので、まずはここから見てみましょう。

スタートはもちろん、直近の財務諸表から。比較するのはその次の段階ですし、場合によっては特定の会計期間しか見れない可能性もありますので。

ずばり、貸借対照表の純資産の部です。それも、資本金や資本準備金、資本剰余金を除いた利益剰余金の部分。この金額の大小を見てみるとよいでしょう。

この利益剰余金(正確には、利益準備金、任意積立金、未処分利益で構成される)は、過去に利益を計上し、それが配当される会社の中に財産として残っているものを示します。会計技術的にいうと、当期利益を計上するとそれに伴い貸借対照表の当期未処分利益が増加します。そして、企業が配当を行うとこの未処分利益が減少します。他の利益剰余金に振り替えられることもあるのですが、その場合は財産の社外流出は発生しません。

つまり、利益剰余金が多い、ということは安定的に利益を獲得しており、その利益が会社の内部に財産として蓄積されている、ということで、収益力、財政基盤ともに安定しているということができます。逆に利益の額だと、たまたまその期利益が出ていたのか、それとも安定しているのか、というのは1期だけではわからなかったりします。

もちろん、きちんと分析するためには純資産だけではなく、他の項目や他の会計期間も見る必要があります。まず、初手として純資産の状況を把握する、ということは非常に有効ではないでしょうか。

 

会計/税務/監査