事業承継でありがちな先代と後継者のギャップとは

会計事務所で働いていると、事業承継の場面にでくわすことが結構あります。その中で、典型的とも言えるのが、先代と後継者のギャップ、これについて少し考えてみました。

後継者、通常は、別の会社や事業体で修行をしてから、先代の会社に入ってくることが多いです。そうすると、外からその会社を見ることになり、粗が結構目に入ってきます。で、雇われならそこまで危機感を抱かないのですが、やはり責任のある立場に立つと危機感を感じてしまいます。そうすると、「一刻も早く、この状況を変えないと」というような気持ちになり、「改革をしよう」となってしまいます。

一方の先代。先代には、この会社をここまでにしたのは自分だ、という強い想いがあります。そして、自分が作り上げてきた会社なので、自分の方法が最善だ、と考えています。特にこれは、割とうまく会社を経営できた人ほど、そういう考え方を持ちます。

で、先代にしたがっている社員も、基本的には先代を尊敬しているとともに、その会社のやり方に慣れていて、それが当たり前だと思っています。先代に対する想いが強いほど、先代よりの考え方になります。

そうするとどうなるか。後継者としては一刻も早く変えたい、他方、先代はこのままでいいと思っている、とすると、そこには対立が生じます。で、従業員は、今までのやり方が変わるのはしんどい、どちらかというと先代寄りになります。この対立構造がどんどんエスカレートすると、先代と後継者の仲が悪くなり、やがては後継者が離れる、ということになりかねません。

このような対立は親子承継より第三者承継の方が起こりやすいです。親子の場合は、親の情、というのもあり、子供は可愛いようで、多少子供が生意気を言っても受け入れてもらえます。逆に、第三者の場合はそこまで心広く対応ができず対立が先鋭化してしまう、ということが辛いところです。

ということで、今回は、先代と後継者のギャップについて考えてみました。長くなったので、対策編はこの次にしたいと思います。

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