イノベーションはマイナスから始まる

イノベーション、というのは、既得権益や中心、主流、というよりむしろ、辺境やマイナスから始まる、と言っても過言ではありません。今回は、キャッシュレスの進展なんかを題材にその辺りのことを考えてみます。

突然ですが、キャッシュレスの進展について、日本と中国の差はどの程度あると思いますか?日本の方が進んでいる、と、答えたあなた、それは、若干、認識が足りないかもしれません。実は、中国の方がはるかに進んでいるのです。それは、グーグルで 「日本 中国キャッシュレス化」とかで検索してみると色々と解説記事が出てきます。

じゃあ、なぜ、この差が生じたのか。それを詳細に論じるのが目的ではないので、ざっくりといいます。一つの要因の要因としては、相互の国における現金への信頼性があるのでは、と考えます。日本という国は現金に対する信頼が非常に厚いです。日本で、偽札をつかんでしまう、ということはまず考えられないですよね。それだけ、現金を作る技術も高いし、しっかりと取り締まられているのです。他方、中国は結構、偽札が多かったりもしました。割と、上海や広東では物価も高いにもかかわらず、100元札(日本円で、2,000円程度)が最高額なのも、一つは、偽札が多かったから、と言われています。つまり、現金を作成する技術等については、日本が優れていた、とも言えるわけです。

それが、キャッシュレスが導入された時にどうなったか。日本では、現金に対する信頼が厚い、ということで、新興のキャッシュレスについて信頼が置かれず普及が遅れました。他方、中国では元々現金に対する信用が低かったこともあり、割と抵抗感なくキャッシュレスに変わって行きました。まあ、キャッシュレス、便利ですからね。日本もキャッシュレス化においあげをはかり、結構、進展はしたものの、中国には遅れをとっているかなー、という感じです。

もう少し一般化すると、現金の信用については中国では出遅れていた、ということがあります。それにより、キャッシュレスという新しい技術への切り替えがスムーズに進んだ。現金の信用が低い、というマイナス事象だったところから、キャッシュレスというイノベーティブな技術の導入が進んだわけです。逆に日本では、現金に対する信頼の高さがキャッシュレスの進展を遅らせた。

ここから、言えることとは、イノベーションはマイナスとか辺境から生じるということです。逆に今まで繁栄していた側はしがらみや切り替えコストの関係で、イノベーションを取り入れらないということもあります。これをイノベーションジレンマといい、場合によっては、業界等の勢力図が変わることもあります。イノベーション、会社や社会が発展していくには欠かせないわけですが、大貧民で言う、革命にもなりうる、既得権益に対しては非常に怖いもの、ということができましょう。

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