中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識(11) ~統制活動、現物管理

引き続き、統制活動を。今回取り上げるテーマは現物管理ついてです。現物管理、例えば、在庫、固定資産、現金、預金、手形、等々いくつかあります。これらは全て会社の大切な財産でありなくならないようにきちんと管理する必要があります。具体的な方法についてまとめてみました。

物理的な防御

まずは、現物に対して物理的に接近することを防ぐことが必要です。例えば、現金や手形であれば金庫に入れる、預金は預金通帳と印鑑を別の金庫にしまう。在庫であれば、倉庫の中に入れて鍵をかける。のように、物理的に近づけないようにします。そうすれば、悪意を持った人が容易に持ち出せないようになり、現物がきちんと保管されるようになります。

不所持

次に、現物を持たない、ということも管理の方法の一つでしょう。例えば、立替払いや取引先との取引を口座振り込みにして現金を持たないようにする。在庫の保有量を減らす(在庫の保有量はこの他色々な観点があります)。手形取引は、なるべくやめてもらうよう取引先と交渉する。株券は不発行にしてもらう、があります。取引先等の関係や業務上の都合もあるので、必ずしもうまく減らせるとは限りません。ただ、現物を減らすことができることができれば、その分、守るべき現物が減るため、管理がスムーズに行えます。

帳簿記録と棚卸

現物については、帳簿記録を付けること、それと棚卸の結果と照合することが必要です。現金であれば現金出納帳を付けて、それと現金の実際有り高と照合する、在庫については商品有り高帳を付けて定期的に棚卸をしその結果と商品有り高帳を照合する、固定資産であれば固定資産台帳を付けて、それと実物を照合する、となります。そして、帳簿と実物で差異ができた場合には、差異の分析をきちんと行うことが必要です。

棚卸の頻度は現物によって異なります。現金のようになくなりやすい資産は毎日したほうが望ましく、固定資産のように大きくてそれほどなくなりにくいものは半年か1年に1回でいいかなと。また、棚卸のときは現物の管理状況や利用状況も合わせて確認するといいでしょう。棚卸の際に滞留している在庫品や、使っていない固定資産が見つかる、ということが往々にしてあるものです。

まとめ

現物、これは紛失、盗難、流用等のリスクが高いので、管理をしっかりとおこなうことが必要でしょう。全てのものを同じ水準で管理するのではなく、なくなりやすいもの、貴重なものを重点的に管理することが大切です。

 

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