中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識(12) ~統制活動、滞留管理

中小企業でも知っておきたい内部統制の知識、ということで、今回も統制手続を続けます。今回は、企業の中に滞留している、もしくは使われなくなっている資産はありませんか?ということです。

資産が滞留/遊休になってしまうことの問題点

資産が滞留/遊休してしまっていると資金繰り、保管スペース等色々と問題が生じます。ここで、滞留している、ということは資産が企業の中に通常の期間以上にとどまってしまっていることを指します。在庫や売掛金についてよく発生します。また、遊休は使われなくなってしまったことを指します。固定資産等で発生します。

滞留してしまうと、その分、資金回収が遅くなり資金繰りに悪影響を与えます。売掛金であれば、なかなか本来1か月後に回収できるものが回収できないとその分の資金手当てをしないといけないですよね。在庫も同様です。また、時間が立てばたつほど回収がむずかしくなってしまいます。また、滞留、とこの場合は遊休もですが、これが起こると保管する必要があります。そうすると、家賃等の保管費用が掛かってしまいます。

実は不正によって滞留している場合、例えば従業員が売掛金を着服しているとそれが滞留となって表れる、こともあるので注意が必要です。

帳簿/実地棚卸により滞留状況を把握

まずは、帳簿/実地棚卸により滞留している状況を把握することが必要です。例えば、売掛金であれば、どのお客さんに対する売掛金がどの程度滞留しているか、いつから滞留しているか年齢調べ表により定期的に把握します。在庫も同様です。また、在庫や固定資産であれば、実地棚卸をするので、その際に滞留状況や使用状況を把握します。このように、滞留、遊休については定期的に状況を把握し、そこから対策を考える必よがあります。

滞留、遊休状態は早期に解消を

滞留、遊休状態は放置しておくと望ましくありません。そのため、発見したら、原因を把握するとともに早急に手を打つ必要があります。例えば、売掛金であれば担当者に回収予定日をはっきりさせる、督促する、場合によっては法的措置を取る、ということでしょう。在庫であれば、多少値段を下げても売る、販促活動をかける、ということもあります。固定資産であれば、今後の利用計画を立てる、ということもあります。そうすることにより、少しでも滞留状況を解消すべきでしょう。

最終的に処分もありうる

どうしても滞留状況を回収できない場合、処分する、ということもありえます。売掛金であれば、貸倒償却、債権放棄をする、在庫であれば廃棄処分する、固定資産であれば売却する、ということがあるでしょう。一見するともったいないようですが、これらの資産がなくなることにより、保管費用を減らすことができます。また、処分した場合における処分損は税務上損金となりうるので、節税効果もあります。更には、貸借対照表が綺麗になるので、第3者に見せた時にはいい印象を与えることができます。資産が水膨れした財務諸表はあまり見いいものではありません。

まとめ

滞留/遊休、これが起こるということは、資金繰り、保管スペース等で問題が生じます。そのため、なるべく早めに滞留状況を把握し、解消するように手を打つことが必要です。場合によっては処分することも検討することもありえます。

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