会計学とその近接領域 (18) ~ 会社法:合名会社

会計学とその近接領域、会社法編です。今回は、会社法のうち合名会社をとりあげます。合名会社、現代ではあまりないのですが、後述する株式会社の制度的特色を明確にするに合名会社と比較するのがわかりやすいのでとりあげることにします。

意義

合名会社とは無限責任を有する社員から構成される会社、とあります。ここで、「社員」という言葉が出てきますが、これは従業員ではなく、会社の出資者/運営者を指します。無限責任とは会社が負った債務については無限定で社員が責任を負う、つまり支払う義務を負うことを指します。

基本的には、個人で事業をすることが、複数人で事業をすることになる、という違いしかなく、割と原始的な会社形態ということができるでしょう。

所有と経営の一致

合名会社の特徴は所有と経営の一致が図られていることでしょう。合名会社の社員は出資していることから会社の所有者としての立場をとります。また、無限責任を負っていることから、通常、経営は人任せにできず、自分で執り行うようになります。そのため、合名会社においては所有と経営は一致することになります。

また、社員は経営を執り行う、ということはその人の能力や経験が期待されている、ということにもなるので、軽軽と社員を追加する、やめる、交代する、というわけにはいきません。

限界

合名会社、所有と経営が一致している、ということが大きな特徴であり、そこに限界があります。つまり、少人数の会社組織であるため、出資額には限界があります。また、社員になると無限責任を負いますので、おいそれとは出資できません。借入、というのも、そうそうできないでしょう。そのため、合名会社で行う事業の規模はそれほどは大きくはなりにくい、傾向があります。

まとめ

合名会社、無限責任社員によって構成される会社です。そのため、所有と経営が一致しています。それがゆえに事業規模が大きくなりにくい、という限界があります。そう、その限界を克服するために生まれた会社精度が株式制度、ということになります。

 

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