インボイス制、あなたは登録しますか、それともやめておきますか

さあ、インボイス制の登録について期限が刻々と迫ってきました。ときに、令和5年3月31日が一つの基準日、というか、期限となっています。ここで、適格請求書発行事業者として登録したほうがいいか、どうか、考えてみます。ここでは制度の説明は端折りますので、解説が必要な方は国税庁のHPか、各種書籍をご覧ください。

もともと、消費税の課税事業者の方でそれが継続することが見込まれる方はあまり悩む必要はないと思います。適格請求書の発行事業者として登録しても、しなくても、消費税の課税事業者であることはあまり変わらないので。

悩むのは、免税事業者、つまり今まで消費税の申告、納付をしなくてよかった方たちです。この人たちも、登録すると消費税を支払わないといけない、ということです。悩ましいのは、自分で選択できること、と、選択すれば自分が損をし選択しないと仕入先が損をする、という2つの性質があるからです。おそらく、現時点では課税事業者の方の大半は登録が済んでいる半面、免税事業者はまだ登録していないよ、という人たちが多いと推察されます。

さて、どうするか、事務的に考えれば、まあ、登録しないほうがいいでしょう。登録すれば不可避的に消費税の申告と納付をしないといけない、適格請求書の発行をしないといけない、帳簿の入力も若干複雑になる、ということです。避けれるなら避けるにこしたことはない、と考えます。

ただ、ここで考えないといけないのが、取引先の意向です。取引先との関係をどう考えるか、で、登録するかどうかが決まります。ここは取引先次第なので、確定した答えはないのですが、考え方はいくつか紹介できます。

まず、教科書的な話として、売り先が事業者(会社含む)なのか消費者なのかです。事業者の場合は、仕入先が消費税の課税事業者である場合は、登録を求めてくるだろうと思います。逆に、消費者が売り先の場合であれば、消費者は消費税の申告納付はしないので、適格請求書はいらず、登録は求められないはずです。

取引先が大手なのか中小なのかで変わってきます。大手の場合、登録していない事業者がいるとこちら側の事務処理が煩雑になってしまうのと、実質的な仕入額が大きくなってしまうので、登録してほしいと思います。中小企業のうち、簡易課税や経過措置の簡易計算を適用している場合は、自分が登録しているかどうかは、相手の消費税計算に影響しないので、この場合はあまりうるさく言われないと考えられます。

あと、長い付き合いのお客さんが多い場合であれば、当面は、若干の値引きをお願いし、適格請求書発行事業者登録の登録を免れる、というのもあります。制度開始から3年間は経過措置で、仕入の税額のうち8割は納税額から差し引けます。なので、ざっくり計算して、2%程度値引きをすれば、売り先にとっては、仕入にかかる負担額が概ね同じになるので、「まあ、いいか」で済ますことができるかもしれません。逆に新規先が多くて、制度開始からも取引を開始するようなところが多い場合には、値下げするという手が使いづらく(定価でもあれば別ですが)、登録をしたほうがいいかもしれません。

あと、とても単純な話、交渉力というかが強ければ登録しない、弱ければ登録する、ということもあります。ただ、交渉力は規模に比例する面があるので、免税の事業者だとそこまでの交渉力は持てないかもしれませんが。

結局、登録するかどうかは、取引先がどういう人たちで、どのような関係を結んでいるか、、で結構決まってくると思います。ですので、そういった人たちの意向を推察し、時には直接聞いてしまってもいいので、それをもって決めていくことが必要かと思います。

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