全件チェック以外に帳簿の妥当性を確かめる方法はあるのか?

会計事務所でもそうですし、経理部長の立場としてでも、他者や部下がつけている帳簿の妥当性を検証しなくてはいけない局面があります。どうやって、確からしさを得るのか、難しいところです。今回は、そんなことについて考えてみました。ここでは、税理士が相手にするような、規模小さめな会社や事業者を想定しています。

考えられるのは、取引全件チェック、です。これが、ある意味一番手堅いと思います。証拠資料等々と片っ端から照合していくとかなり正しさが立証されます。ただ、全件チェック、結構時間がかかるのと、ある程度の規模が出てくると厳しくなってしまいます。

じゃあ、どうするか。一つ目は、残高にこだわることです。これは、以前も書いたので詳細は省略しますが、結構、効果的です。

もう一つは分析。全体として大きく増減した項目の理由を追求する、とか、月次推移を見て、大きく変動しているところを見にいく。そういった形で分析して、異常な動きをしているところ、もしくは、ズーぅと動かないようなところを着目もして、必要に応じて資料なんも見ながら追求していく。

さらには、取引記録をさーっと眺めていく。仕訳帳や総勘定元帳を上からサラサラ見て「おやっ?」と思うところがあれば、その内容を質問したり、証憑を追いかけたりしていく。それによって、異常とかんぜられるところを抑えて、誤りであれば修正するということがあります。

別の帳簿との整合性というものもあります。例えば、給与計算システムと会計帳簿を合わせる。給与計算システムは人事部で、会計帳簿は経理部で作っている資料であり、それぞれが別に運用している帳票なので、それが整合していれば両方とも大丈夫、、という印象は得られるはず。

それと、会計システムから出るモニタリング帳票をみる。例えば、売掛金の年齢調べ。本当に回収が滞っているのもあるでしょうし、逆に、消し込み漏れといったのもあるかもしれない。一番、お世話になるのが、勘定科目別の消費税の課税区分ごとの集計資料です。これを見ると課税区分の概括的妥当性はわかりやすくなります。

間違えやすいところを把握しておいてそこには注意する、というのもあります。それは会社特有のものもあるし、一般的に間違えやすいものもあります。一般的なものの典型例は、課税区分と資本的支出、役員との取引で、これはやっぱりこちらがわでも注意しているところです。

最後に前提として、会社の業務の内容をきちんと理解する。それで、会社の実態と数値の振る舞いを照らし合わせる、ということでしょうか。それは、大きな業績な流れでもそうですし、個々の取引でも実態、背景、経済的合理性、といったところを確認します。

こういった感じで、全件チェックに頼らずとも、帳簿入力の適切性を判断する方法はあります。とはえい、全件チェックするに越したことはないので、そちらについても取り組んでいきたいものではあります。

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