「燃えよ剣」から学ぶ組織論 (1) ~上に立つものは部下の鑑となるように

司馬遼太郎さんの書いた「燃えよ剣」という小説が好きで何度となく読んできました。ここに書いてあることのいくつかは現代の組織運営にも役に立つと思うので、その観点からまとめてみました。

燃えよ剣のあらすじ

新潮文庫の初版は昭和47年に出版されております。上下2巻なので、龍馬がゆく、坂の上の雲、翔ぶがごとくより読みやすいのでは、と思います。このシリーズでは、ここに収録されている数々のエピソードより、組織運営に関する事項をとりあげます。

「燃えよ剣」は幕末、新選組副長の土方歳三の半生を描いた小説です。剣術道場の日々、京都に行くまでのいきさつ、新選組結成、芹沢鴨暗殺、池田屋事件、大政奉還、江戸への引き上げ、蝦夷政府樹立、そして戦死までの状況が書いております。以下は芹沢鴨暗殺の箇所より。

芹沢鴨を斬るおりに

近藤勇と土方歳三が会津藩からの要請で芹沢鴨を斬るときのこと。近藤は芹沢を斬ることについて少し難色を示します。そこで、土方は4つの法(罪を犯す、怯懦である、隊法を紊す、隊の名を汚す)をおかすものは誰であっても斬る、と答えます。つまり、芹沢を斬るべきというわけです。

そのときに、近藤が土方に、自分が4つの法(罪を犯す、怯懦である、隊法を紊す、隊の名を汚す)をおかしてとしたら、やはり斬るのかと聞きます。土方は斬ると答えてから、最後に近藤に次のことを言います。

「あんたは、総帥だ。生身の人間だとおもってもらっては困る。奢らず、乱れず、天下の武士の鑑であってもらいたい。」

上に立つものは下の手本となるべき

このエピソードからは上に立つものは部下の手本となるように意識する必要がある、ということが読み取れます。

つまり、土方は近藤が武士の鑑のような人間となることにより、隊士もそのような人間になり、隊全体が規律のとれた組織になることを期待しているわけです。

現代風に例えると、上司がいつも遅刻をするなど時間にルーズであれば、それを見ている部下もそれを守るようになり、時間にルーズとなります。逆に上司が時間に厳格であれば、それを見ている部下も時間には厳格になる傾向があります。

つまり、上司の考え/行動は部下の行動や部の風土に強く影響します。そのため、上に立つ人は自分の行動が部下の考え/行動に与える影響を考えて、自分の行動を律する必要があります。

まとめ

燃えよ剣、色々と読み方があると思いますが、組織論として読んでみると意外と現代でも活かせることができると思います。今回は、上に立つもののあり方をとりあげてみました。興味のある方は、是非、原作を手にとってみてください。

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