イマサラながらマルサの女を見てみました。

マルサの女、よくもわるくも日本の税務行政や税務調査のイメージを型作った作品です。1987年公開、今からだと30年以上前の映画となります。ですが、今見ても面白く感じるのでお勧めです。

マルサ、というのは、税務署ではなく、国税庁査察部という部署になります。税務署の行う税務調査とは異なり、犯罪性の高い脱税事案を専門に取り扱われる部署です。なので、手法も内偵、尾行、がさ入れ、という、刑事ドラマ顔負けの手法がとられます。まあ、普通に税理士をやっていても、そうそう、マルサが絡む案件はないと思うのですがいかがでしょう。

物語の筋は、主人公の女性がマルサという組織の中で、脱税者を追い詰めるという内容です。途中、ところどころ出てくる、ややアダルトめな描写に時代を感じます(今だと、このあたりは結構厳しく同種の映画を作ってもこういう描写はほとんど出ないと思います)。

実は、主人公の板倉亮子さんは物語の最初からマルサの女というわけではなく、映画の出だしは普通の(?)税務調査官です。映画の途中でマルサに異動になります。なので、物語の前半部分は税務調査官が行う、税務調査です。冒頭、見始めた頃は、「なんだ、マルサと言っても地味なことやってるな~、」と思っていたのですが、実はそういうことではなかったのですね。

自分としては、前半のほうが、興味深いというか魅かれました。前半部分のほうが、税務上の論点とか、脱税の手法とか、税務署員の思考なんかが、滲みでてきますので。後半は、マルサらしいダイナミックな描写は楽しめるものの、税務的な話はあまり出てきません。そういう意味ではコントラストがあって面白く感じる向きもあるでしょう。

日本の税務行政や税務調査のイメージを作ったともいえるマルサの女。今、見てもとても面白く感じます。税理士等税務をつかさどる人は是非見てほしい一本となります。機会があれば、マルサの女を税理士的に見るとどうなるか解説なんかもしてみたいです。

会計/税務/監査