「考える社会学」から社会を理解するためのツールを手に入れよう!

「考える社会学」という本があります。これは、僕が大学の頃に受講した「行動科学の基礎技術」という講義で使ったテキストです。この授業、一般教養として大学のときに受講した科目の中で抜群に面白かったので、その時のテキストを紹介します。

このテキストの目的は、人が社会の中で発生する「「ふしぎ」な社会現象」のメカニズムを紹介しています。このような社会現象は時として、社会問題として現れます。言い方を変えると、このような社会現象のメカニズムを発見することにより、原因を解明し、解決策を提示することを目的としている、といいます。

このテキストは第1部 意図せざる結果、第2部 相互作用、第3部 集団・組織、第4部 社会秩序、という4つに分かれていて、更に、その中で章に分かれています。

具体的な、内容を見てみると、第1章 予言の自己成就では、以下の様に章が始まります。

たとえば次のような予言を考えてみよう。

予言A「〇月〇日に大地震がある。」

予言B「✖月✖日に株が大暴落する。」

どちらの予言もある日にある事態が生じると言っている。そしてその日が来たときに、大地震が起きたり株が大暴落したりすれば、予言は的中したと評価される。このように考えると、2つの予言は同じように見える。しかし、社会学的には、実は大きな違いがある。

そして、ここから、特定の社会現象に関わる予言については、予言になされたことにより、それが達成されてしまう、「予言の自己成就」という現象、豊川信用金庫取り付け騒ぎという例をあげながら、それとそのメカニズムについて論理的に説明しています。

こんな感じで全部で18章、それぞれに社会で起こる特有の現象について、簡潔かつ説得力のある説明を与えているため、非常に面白く感じます。

また、ここで紹介されているメカニズム(本書では「モデル」といっています)は、結構汎用性が高く、実際に自分が社会問題を考える上で参考になることが多いです。例えば、私はこのブログの中で、受験戦争の発生要因について、第2章「社会的ジレンマ」で紹介されているモデルを使って考察しています。(詳しくはこちら)。

実は、この本が出版されたのは、1991年と今から20年以上前の話です。とはいえ、内容は決して古いとは言えず、今でも十分に通用するのではなかろうかと。

人生のコツ/趣味