国際税務についてまとめてみました(4)~恒久的施設

これで、4回目となる国際税務についてまとめてみました、シリーズ。今回は恒久的施設についてわかりやすく説明をしました。

恒久的施設とは

恒久的施設とは英語でPermanet Establishment, 略してPEです。このPEについては事業を管理する場所という定義がなされています。具体的には、外国企業が当該国に対して有する支店、事務所、工場、作業場、天然資源採取場所、工事現場、代理人等が該当します。例えば、A国に居住する企業がB国に支店を持っている場合には、その支店はB国にある恒久的施設に該当します。

恒久的施設があると

その国に対して恒久的施設があるかどうかで課税の方法が変わってきます。具体的には次節以降に譲りますが、おおざっぱにいうと、当該国にある事業場が恒久的施設と認定されると、そこが当該国の課税対象単位に該当し申告納税をする必要がでてきます。上記の例の場合、B国にあるA国企業の支店はB国において申告納税する必要があります。

支店の場合は、通常、恒久的施設となってしまうので、税負担を避けたい場合は支店にはせずに外国で事業することもあります。これを防ぐため、恒久的施設の概念を広くとり、工事現場や代理人についても恒久的施設に含めています。

恒久的施設の意義

恒久的施設は当該国がその国おける事業に対して課税権を有するための仕組みです。支店の場合を例にとると、支店は本店の一部とみなされるため支店における課税所得は本店の課税所得と合算され、本店の所在国にて課税対象になります。具体的には、B国にあるA国企業の支店における課税所得にかかる税金はA国にて納付されます。つまり、当該支店はB国で事業活動をお行っているにもかかわらず、B国はその事業活動にかかる税金を徴収できないことになります。

それを防ぐのが恒久的施設という考えとなります。この支店を恒久的施設認定することにより、その支店に帰属する課税所得、すなわちB国における事業活動についても税金の徴収対象とすることができます。

現地子会社は恒久的施設になるか

現地に子会社を作った場合、これが恒久的施設になるのか、という話ですが通常はなりません。これは、そもそも、子会社の場合は現地での課税単位となり、恒久的施設うんぬんは課税するかどうかに関係はなくなります。つまり、現地子会社については恒久的施設認定する必要がない、といえます。そのため、多くの租税条約において現地子会社は恒久的施設の定義に含まれていないはずです。

まとめ

恒久的施設は外国企業のその国における活動に対して課税するための一つの概念です。通常、恒久的施設に該当すると企業にとって税負担や納税手続等の負担が増えます。そのため、企業が海外で事業を行う際には、できるかぎり恒久的施設に該当しないようにします。そのためにも、海外で事業を行うにあたっては、当該国での国内法及び租税条約における恒久的施設の概念を整理することが必要です。

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