会計事務所にとって、本当は怖い消費税

税金的なことを論じるに当たって、法人税のことを論じられることが多く、消費税についてはあまり論じられることが少ないような気がします。なので、消費税、あまり気にしない人も多いのですが、実は消費税の方が怖い側面があります。今回はそんなことをば。

消費税、業務委託 vs 給料のようなグレーな論点もあるし、かつての居住用建物や金取引などの租税回避策もあるにはあるのですが、論点はそれほど多くはないのです。法律上の税務恩典については法人税の方が多く、消費税の恩典は結構少ない。あと、日々の入力において金額が決まるので、決算や申告は取引を集計して終わり、となることも多いです。

ですが、そうやって甘くみていると、ズボッと落とし穴に落ちるのが消費税の怖いところ。一番、恐るべきは、届出書です。簡易課税、課税事業者選択届あたりが特に。何が怖いか。将来の取引に応じて損得が分かれてしまう、ということ。例えば、簡易課税にしていて、その間、大きな設備投資があると、その分は消費税が取り返せなくなってしまう。逆に、開業したてで設備投資が結構あるだろう、ということで選択届を出すと、実は思ったほどではなかったという時だと消費税の納税が発生してしまう。こういう場合、金額が大きくなりがちで、関与先に思わぬ、損害を与えてしまうことがあります。それと、一回出すと、最低、2年間は届の効力が残るので慎重に対応する必要があるのだ。

もう一つは、税務調査等により指摘される場合、期間のズレより範囲のズレが多いのです。法人税は割と期間のズレが多く、例えば、売上、在庫はそうですし、資本的支出や減価償却超過も時がたてば解消します。まあ、交際費や役員報酬は期ずれではないのですが。消費税は逆に非課税取引や不課税取引、課税取引、というのは、取引の性質であり範囲のズレとなることが多いです。とすると、一回指摘されると、時間がたてば取り返せる、というものではない、ということがあるでしょう。

そうそう、消費税は赤字会社であろうとも納付する必要があります。そういう意味での資金負担もありますし、課税事業者であれば、赤字であれば税務調査にはこない、、とは必ずしもいえない状況にはあるでしょう。

ということで消費税、意外と甘く見がちですが、怖い面もあります。特に、届は結構致命的なミスに繋がりやすいので、特に提出する場合は念には念を入れたいところであります。

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