結局、業務委託で働くということは、緊張関係の中で働くということである

最近は「多様な働き方」ということで、「雇用」ではなく「業務委託」という形態を利用する人も増えてきていることでしょう。ここでは、業務委託で働くということについてその特徴を考えてみました。一言でいうと、委託するほう受託するほう相互に緊張関係がある、ということです。

業務委託の場合は、お互いの結びつきが切れやすい傾向にあります。雇用で働いている、ということであれば、そう簡単には会社をやめないですし、雇ったほうはもっと大変でひとたび雇ってしまうと、簡単には首にできません。それが、業務委託であれば、割とバサッと切ることが可能です。例えば、1年契約で契約の更新を繰り返すような場合、契約期間が終われば、「来年は更新しないから。」といって、関係を切ってしまうということが可能です。もちろん、これは委託先側だけの話ではなく、受けている側も、業務の内容や人間関係が気に食わなければ契約を更新することはないでしょう。

あとは、業務委託のほうが希薄になりやすい。雇用だと、通常、同じ職場で長時間働くことが多いので、人間関係がよくも悪くも濃厚になりやすいです。また、飲み会や旅行のように、仕事外でも人間関係が濃くなる傾向があります。ですが、業務委託は時間も場所も限定されるため、人間関係が希薄になりやすい傾向にあります。結局のところ、仕事だけのつながりになり、これも結びつきが切れやすい要因となるでしょう。

さらに、業務委託をするためには自分で能力を高めていく必要があります。他方、雇用の場合は長期的な視野で関係を作るため、雇ってから教育し社内で能力を高める、ということをします。なので、雇用の場合、特に新卒である場合はもちろん、中途であってもポテンシャルを期待して採用することになります。ところが、業務委託の場合は雇用と違い関係が短期です。そのため、委託側に受託者を育てるだけの時間的余裕がないことが多いため、業務委託の場合はすでにある程度能力があることを前提として頼む、ということになるでしょう。

結局のところ、お互いに切られないよう努力する必要があります。仕事を受ける側は、自分の望む条件で仕事を受けることができるように、日々能力を高めていく必要があります。他方、委託するほうも受託者が逃げないように、ある程度、きちんと条件を整える必要があります。そうでないと、受託者も関係を切ってしまうので。お互いが努力することにより、業務委託は成り立つ、というところがあります。

ちなみに、業務委託、最も注意すべきは、一社(数社)専属にならない、ということです。一社(数社)専属だと、そこから切られると売上ががくっと落ちてしまう。そのため、受託側は委託側に強く交渉することができなくなり、結局、不本意な契約内容で受けざるを得なくなります。こうなると、従業員として勤めているより、労働環境は悪くなります。なので、ある程度、お客さんは分散させたほうがよいでしょう。

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