バランスをとる、ということの落とし穴

バランスをとる、とか、バランス感覚が優れている、ということは通常美徳としてとらえられがちです。ただ、いいことばかりでもないので、そんなことをば。

器用貧乏、とか、何でもこいに名人なし、といいます。名人、とか、そういうレベルに到達するためには、一つのことを突き詰めることがもとめられます。そこまでいかなくても、一般にT字型とか、π字型キャリアといっても、なにか一つか二つ深掘りしたものが必要になります。

逆にバランスを重んじ、あらゆることに上達しようとすると、ソツなく何でもこなせるけど、「これ」というものがなくなってしまいます。そうすると、却って成果を残すことができなくなってしまいます。ので、とんがった部分を作ったほうがよい、となります。

人間関係でも時としてバランスを考えすぎるのもマイナスだったりします。バランスにとらわれると、「ぼくはこれだけしたのに。」となり、相手に同程度の貢献を求めてしまい、思うように返ってこないと、相手に対する不満が生れてしまいます。つまりバランスをとろうとするあまり、「見返り思考」に陥ってしまう可能性があるのです。

それを回避するためには、ある程度は自分のほうが多く与える、というように、バランスを崩すこと。とはいえ、あげすげても相手にプレッシャーになるようなので、6割~7割くらいは自分のほうが貢献している、という感覚がいいのではないでしょうか。

実は、「バランスをとる」というのは、ひじょうに多義的な言葉で、いい意味でつかわれることも多いです。ですが、バランス、ということにとらわれ自分にとってマイナスに作用してしまう、ということもあります。なので、バランスをとることが必ずしも正しいことではない、、という考えを持っておくことは大切です。究極的には、バランスをとらないことのバランスをとる(禅問答みたいですが)、ということが望まれます。

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