会計事務所はなぜ節税の提案をあまりしてくれないのか

会計事務所に対する不満として「税務の専門家のくせに節税の提案をしてくれないんだよなー」と、不満に思う向き、あろうかと思います。もちろん、我々としてもそれを是としているわけではないのですが、我々には我々の事情や言い分があるのです。今回はそんなことをば。

会計事務所のプライオリティは節税ではないのです。会計事務所にとって、関与先にいかに法律違反をさせないか、、ということが、実は最大の関心事であり目的なのです。

それは、当たり前じゃないか、、とおっしゃられる方は非常に多いと思います。だけどだけど、そんなに簡単な話じゃないのですよ。まず、期限が山のようにあります。確定申告、年末調整、支払調書、各種届出等等。また、税法もよく変わるし、それにキャッチアップもしないといけない。インボイスや電子取引のように業務フローから変えてもらわないといけないこともあるし、その他、微細な変更もあったりします。こういったことに対応すると、それだけで力尽きてしまいます。

他方、お客さん側にも節税提案をしにくい場合、というのもあります。まずは、赤字を出している会社や個人事業主の方。節税のメインは、法人税や所得税、なのですが、そもそも、所得がなければ法人税や所得税はかかりません。なので、当然、会計事務所はそういう人たちの節税は気にしない、ということがあります。あと、節税は支出が伴うことが非常に多いので、資金繰りが苦しそうなところには節税の提案はしにくかったりもします。なので、あえて節税を言わない場合も多いのです。

あとは、お客さんのリスク耐性です。会計事務所である以上、完全に法律に違反するようなことは言いませんし、お客さんがやろうとしても止めます。ですが、税務の世界もですね、白黒はっきりしない、ということはあるわけです。具体的にいうと、確かに税金は安くなるけど、事実認定で当局者と揉めそうで、場合によっては判断がひっくり返るかも、ということはあるわけです。そういう局面で、「先生がいいように」とこちらがわに判断を戻されると、安全な方に流れてしまいます。事実認定のリスクを取る、といってくれればこちら側でも対応できるわけです。

あとは、会計事務所のアピール不足、ということもあります。つまり、実は、税額控除とか取れるところはとっていたりします。ですが、わざわざ、そういうことを言わないで、申告書だけ作っちゃう、ということもあります。でも、それだと、会社側、事業主側はそういうことは気づかないので、きちんと節税のことを考えていてくれているにもかかわらず、節税について提案してくれない、という、不満を持たれてしまう、ということは往々にしてある話です。

ということで、節税のこと、提案してくれないなー、と思われているであろう、背景を考察してみました。もちろん、満足できるような対応ができれば、と思っている面もあります。どこかで、そのためにどうすればいいか、ということを考えてみました。

未分類