公認会計士のキャリア論:会計監査からアドバイザリーに転向したときの留意点3つ

公認会計士としてキャリアの一つとして、会計監査からアドバイザリー(コンサルティング)に異動する、ということがあると思います。比較的、よくありがちなキャリアプランではあるのです。そうはいっても、仕事を変えるため、その方法や進め方も変わり、それが思わぬ負担となることがあります。今回はその点について触れていくようにします。

お客さん中心

アドバイザリー業務はお客さんの意向というものが業務の中心となります。

会計監査は、お客さんが作る数値が正しいかどうかを判断する、という第3者的な立場が求められます。お客さんより、会計数値の正しさ、監査基準への準拠がより強く求められます(もちろん、お客さんから報酬を受け取っているので、そのあたりは必要になりますが)。

他方、アドバイザリーの場合には、お客さんからお金をもらいます。特に、アドバイザリーに関する基準、というものはないため、お客さんの意向に沿うような形で業務を行うことが求められます。この点、会計監査に慣れていると、どうしてもあるべき論を押し付けがちになりますが、そうではなく、柔軟に対応する、ということが必要です。

ゴール、プログラムが不明確

アドバイザリーはゴールやプログラムが明確に定めにくい、という点があります。

会計監査のゴール、それは、もちろん監査報告書の発行です。この2~3枚程度の書面を作成するために、全ての業務が構築されています。通常、監査の場合は監査計画を立案し、実施すべき監査プログラムを作成します。それは、前年度の監査プログラムを参照するので、比較的似通ったものになりがちです。

他方、アドバイザリーのゴールはお客さんにより様々です。また、お客さんも必ずしもクリアーにゴールを描き切っているわけではないので、それを業務を通じて明確化する必要があります。また、お客さんの意向や状況も変化するので、その変化に対応することが必要です。極端な話、今までの業務の方向性が、お客さんとのミーティングを通じてがらりと変わることもありえます。ゴールが不明確であれば、それ対するプログラムも不明確であり、変化していく傾向にあります。

ハンズオンの必要性

アドバイザリーは、職階があがっても自分の手で仕事をする、ということが多くなります。

会計監査の場合、計画を立案してプログラムを作ってしまえば、後はスタッフをアサインして、スタッフに仕事を割り当てていくことになります。産業、勘定科目、サイクルが同じであれば、プログラムも似通ってきます。そうすると、割と経験の浅いスタッフでも、プログラムや過去の資料、今までの経験で比較的スムーズに仕事をこなすことができます。

アドバイザリーの場合、前述したとおり、プログラムが不明確、ということがあります。そのため、時によっては、プログラムそのものを作り、それを試行錯誤しながら、遂行する必要があります。そうなると、なかなか、人に任せる、ということが難しくなります。そのため、人にふらず自分自身で遂行するということになります。

まとめ

会計監査とアドバイザリー、違う業務であるため、異動するとそれなりな大変さ、というものはあります。やはり、お客さん中心となり、それに伴い、ゴール/プログラムは不明確になります。そのため、人に任せるのが難しくなり、自分でする、ということも増えてくるでしょう。

 

 

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