国際税務についてまとめてみました(10)~タックスヘイブン

大分、長くなりましたがこのシリーズ、しばらくは続きます。今回は、国際的租税回避行為の防止ということでタックスヘイブン税制の基本的な考え方を説明します。なお、ここでも細かい制度の話は省略します。

タックスヘイブンとは

タックスヘイブンとは租税回避地という意味があります(税金天国ではありません)。国によって税率が異なる場合、税金が安い国に会社を作ってこの会社に課税所得を多く計上することにより企業集団全体の税金低く抑えることができます。極端な例をいうと、実質的には事業活動を行っていない会社を税率を安い国に設立し、企業集団の利益を転嫁する、ということが考えられます。

租税回避行為を防ぐために

国家としてこのように税金が安い国に課税所得を移転されてしまうと、納入されてくる税金が少なくなってしまい非常に困ってしまいます。それを防ぐために、ある一定の要件を満たした外国にある子会社の課税所得を本社にある課税所得と合算して法人税等を計算させるようにしております。そうすることにより、課税所得を低税率国に移転することによる租税回避を防ぐようにしています。

なお、外国にある子会社がタックスヘイブン税制の適用対象となったときには、当該外国で支払った法人所得税については税額控除の対象となります。

どのような外国子会社を対象会社とするのか

とはいえども、全ての外国子会社に対してタックスヘイブン税制の対象とすると企業の国際的な活動を阻害してしまいます。そのため、タックスヘイブン税制の適用対象とするのは、租税回避的な行為に制限するようにしています。具体的にはいくつかの基準を設定して、それにあてはめることにより、タックスヘイブン税制の適用対象としております。

まとめ

租税回避的行為を抑制するための手段としてタックスヘイブン税制があります。企業が海外にでる理由としては、進出先の税率が安いこともありますが、その場合タックスヘイブン税制に留意することが必要です。

 

 

 

 

 

 

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