事業承継における後継者の変えたい病とその対策

事業承継で往々にして問題になるのは、「変えたい病」です。これは、事業承継として後継者が入ってきた場合、色々なことを変えたくなり周りがついて来れなくなる、ということです。これについて今回は見ていきます。

会社であれ、その他の組織体であれ、そこには独特なものがあります。他と比していいものもあれば、非合理的と考えられるものがあります。後継者のように、外から入ってくると、独特なものが目につきます。特に、不合理と考えられるものについては、つい、「不合理である」「おかしい」「間違っている」と感じがちです。

不合理と感じられる、と、書きましたが、必ずしもそうとは限らないものがあります。そこには、その組織ならではの文脈や文化、があります。なので、外からみると不合理に見えても、実は合理的だった、、ということがあったりもあります。また、人間は慣性の法則で動くので、以前からの構成員にとって、急激な変化は精神的に耐え難く感じる、ということもあるでしょう。

で、どうするか、ということですが、一つは、可能であれば3年程度は黙っている、ということがあります。つまり、不合理だと思っていても、あまり発言は求められない限りしない、ということです。3年間という時間が取れれば、背景や文脈がわかってくるので、変えるべきところ、変えなくてもいいところが見えてきます。会社や先代の状態においては3年間という時間は取れないかもしれませんが、ある程度はすぐには動かず様子を見る、ということが必要です。

もう一つは初心を忘れない、ということです。入ってきた時の違和感というのは、心の中で大切に持ち続けることです。その違和感と組織の中の合理性と照らして、「ここは変えよう」「ここはそのままでいい」というふうに判別をしていって、タイミングを見て変えていく、ということになるでしょう。逆に、初心を忘れて、「これでいい」と染まってしまうと、これはこれで組織に進歩がもたらされず、いつまで経っても不合理な状況が変わらない、ということになります。

とはいえ、何も変えない、というのもストレスが溜まるものです。なので、自分の仕事の進め方、ツール、ノウハウ等、身の回りのところから変えていくと、負担はないということもあります。

ということで、変えたい病、あまりに急激に発露させすぎると、周囲との軋轢が生じます。ではなく、時間をかけて心の中で温め、タイミングと見て発露させていく、ということがいいでしょう。

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