会社や個人事業でお金の流れが見えないなーー、という人のために②~利益と資金のずれ

以前の投稿で、帳簿をつけるとお金の流れが見える基礎ができるよ、、、と言いました。とはいえ、帳簿をつければ100%お金の流れが見えるのか、、というと、必ずしもそうではない。ということで、ここでは、お金の流れと利益のずれについて考えてみます。

利益、というのは、税法や企業会計の考え方により計算されます。あくまでも、税法や会計での利益、と、お金の出入は一致していません。

ここでは、お金と利益には期間のズレ、と、性質のずれがあります。例えば、売上について言えば、会計や税務では物品や役務の提供が終わった時点で計上されます。お金の流れとしては、実際には売上代金が入金した時です。費用も同様に、会計や税務では役務の提供を受けた時点で費用の流れを認識するのですが、お金の流れは支払った時に生じます。あと、設備投資の場合は、お金の流れは投資した時点ですが、実際に費用になるのは減価償却という手続きで、将来のいくつかの事業年度にわたり費用として計上されます。

それともう一つは範囲のずれ、というものがあります。つまり、資金は流れても、それが損益として落ちてこない、ということですね。損益となるものについては、いずれかの時点でお金の流れが生じます。が、逆はそうとは限らない。例えば、借入をした場合はそれは会計上の収益とはならず、逆に借入を返済した場合は費用にはならない。また、株主が出資を受けた時にはそれは会計上の収益にはならない、ということです。

ということで、帳簿をつければたちどころに資金の流れがわかるか、、というとそうとは限らない。もちろん、長い目で見れば、利益の流れがお金の流れと整合してくるし、残高はわかるので、何もないよりははるかにマシな状況ではあるのですが、もう一捻りする必要がありそうです。ではでは。

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