帳簿突合の有効性を考えてみた

帳簿突合、という手続は、監査論なんかだと、内部証拠同士の照合であるため、証拠力が弱い、というふうに言われることがあります。なので、それほど重要な手続ではないのではないか、という風に考えられがちです。ですが、これはこれでとても大切なことなのです。

帳簿突合、というのは、会社にある帳簿相互間の整合性を確かめるための手続です。もう少し具体的にいうと、接点となる数字が一致しているかどうかを確認する、ということになります。例えば、残高試算表と勘定明細との照合、得意先台帳と会計帳簿、固定資産台帳と会計帳簿、といった照合があります。

確かに、全てが会社の内部証拠なので、共謀や改ざんされてしまうと、数字としては適正なものになってしまう、という可能性があります。なので、公認会計士が行う財務諸表監査においては、これだけでは結論が出せないことになっています。

とはいえ、帳簿突合というのは、ある程度の確からしさに対する心証を得ることができます。帳簿というものは、それぞれ別の作成方法で作成します。場合によっては別の人が作成する、ということもあります。例えば、販売部門で得意先台帳を作成、管理し、経理部門で会計帳簿を作っている、というようなこと。職務分掌が働いている、ということです。別々の方法で作成したもので、かつ、理論的には数字が合うもの、について、実際に数字が一致している場合においては、まあ、この数字は正しそうだな、と思うことがあります。

逆に、帳簿相互間の整合性がとれない、というのは、絶対になにかが間違っている、ということを意味します。なので、そこから詳細に入るということはせず、まずは、整合性を確認しないといけません。残高試算表と整合しない勘定明細をいくら検証しても、そもそも、残高試算表、もしくは、勘定明細が正確でないので、場合によっては意味のない手続になってしまう、ということもあります。

あとは、手続としては結構簡単だったりします。帳簿と帳簿の数字の一致を確認するだけですからね。証憑突合のように請求書等の外部証憑を見たり、計算突合のように監査人側で計算する、ということはなく、わりとさくっとできてしまう、というところがメリットです。

ということで、帳簿突合、意外とバカにはできないぞ、、というようにも思えます。まあ、公認会計士の行う財務諸表監査では難しくとも、巡回監査くらいなら、帳簿と突合しただけで、心証を得れてしまう、ということもあったりします。

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