中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識(10) ~統制活動、承認の機能、見直し

さて、中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識、10回目となりました。今回も引き続き、統制活動の具体例、ということで進めていきます。今回は承認の役割、つまり、承認することがどのような意味合いを持つのか、ということです。

正当性の付与

承認する、これは組織の中で上司が部下が行う行為を認めることを指します。つまり、部下を承認を受けることにより、その行動を会社の行為として行うことができます。逆に、承認を得ないで行う行為は本来会社としてあるべき行為、、ではなくなってしまいます。場合によっては、部下の独断専行により会社に損害が発生す可能性もあります。その歯止めとして承認を求めるということがあるわけです。つまり、承認を得て行為を行うということは、従業員における会社内での行為の正当性を担保します。

チェック機能

他方、承認によりチェック機能を果たすことができます。例えば、部下からあがってきた、レポートなり伝票をレビューします。そこで、内容として問題なければ承認して次のステップに進めます。逆に問題があれば、それを指摘して部下に差し戻すことになります。この場合の承認の意義としては、内容のチェックをする、ということがあります。

承認には正当性の付与とチェック機能の2つの働きがあります。場面によってはどちらかが強かったりもします。例えば、営業部員が接待を行ってその伝票の承認を求めた場合、営業部長の承認は正当性の付与という意味合いが強くなり、経理部長の場合は伝票の正確性の検証という意味合いが強くなります。

承認のコスト

承認という行為、コストもあります。まずは、時間がかかる。承認すべき人が多くなればなるほど承認されることに時間がかかるようになります。そうすると部下の方は機能的に行動することが難しくなってしまいます。

また、承認者が忙しいかったり、部下を信頼しすぎると内容を検討せずに承認されてしまう可能性もあります。そうすると、認めた行為が会社にとって望ましくないものになったり、内容が誤ったものとなっても気付かれずにスルーされてしまう可能性があります。

まとめ

承認、正当性の付与、正確性の検証、という2つの側面を持ちます。他方で時間がかかったり等の負担というものもあります。承認手続を見直す際には、どの程度まで階層を高くすれば効果を達成できるのか検討して、必要最小限の承認手続をデザインする必要があるでしょう。特に中小企業では、承認手続にもそれほど人手をかけられないので、ある程度の省力化は考えてもいいかもしれませんね。

 

 

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