中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識(13) ~統制活動、証拠資料/帳簿間での照合

今回も引き続き、統制活動について記述していくことします。ここでは、会計帳簿の正確性をどう担保していくか、ということをまとめます。ポイントは、帳簿と根拠資料、帳簿相互間、計算の正確性、といったこがあります。

根拠資料に基づいた帳簿記録

基本的に、全ての会計処理については、根拠資料に基づき行われる必要があります。根拠資料とは取引を証明するような資料のことをさし、具体的には契約書、請求書、検収書、領収書、稟議書、といったものがあります。

ここで、根拠資料がないと、当該取引の帳簿記帳時、及び、事後的に検証することができなくなります。そうすると、そもそも正確に記録できない可能性があるとともに、監査や税務調査といったところでの指摘事項にもなりえます。

そのために、根拠資料に基づき、帳簿記録を行い、一定期間根拠資料を保管し事後的な検証が行えるようにする必要があります。

帳簿間の整合性

帳簿相互間の整合性、これも常時確認する必要があります。帳簿相互間が整合していないと帳簿記録全体の信頼性が著しく低下してしまいます。

例えば、売掛金元帳(売掛金の明細)と会計帳簿が整合していない、ことを考えてみましょう。例えば、売掛金元帳上はA社30、B社40、C社20で合計90となっているにもかかわらず、会計帳簿では売掛金の残高が100となっている場合ですね。売掛金の金額は結局、90なのか100なのかどちらなのか、どちらが正しいか判別不能ということでこうなってしまうと売掛金の残高自体の信憑性が著しく低下します。

このようなことを防ぐためには、月次等で帳簿間の整合性を確認する必要があります。そして、帳簿間に差異があれば、その時点で原因を究明する必要があります。この場合、差異が合理的な場合は、それ以上気にする必要はないのですが、誤りがあった場合には速やかに修正する必要があるでしょう。また、帳簿の中で内容が不明なものがあったらば、これも早急に内容を確認する必要があります。

計算の正確性

会計数値の計算の正確性に留意する必要があります。会計は数値の計算によりなりたっている、ので計算の正確性を担保していく必要があります。例えば、単純な縦計、横計から始まり、減価償却計算、税金計算、引当金の計算等複雑なものもあります。こういった計算が誤らないようにチェックをする必要があるでしょう。

チェックとしては、一番有効なのは、別の人がチェックする、ということでしょう。自分がしたことだとミスは見つけにくい、人がしたことだと割とすんなりチェックできることもあります。

また、別の計算方法を試す、ということもあります。例えば、縦計、横計をエクセルシートによって出したら、それを打ち出して電卓を叩いてみる、とか。エクセルは正確だ、という認識もありますが、そうはいっても式の入力ミス、範囲指定の誤り、ということもあるので、電卓をたたくことによりそういったことを把握することができます。

まとめ

会計帳簿の正確性を保つために、根拠に基づき会計帳簿をつける、帳簿相互間の整合性を確認する、計算をチェックする、ということがあります。中小企業の場合は、会計事務所に丸投げすることもあるのでここまで気にすることはないかもしれません。ただ、自社で会計帳簿を付ける、といった場合には、こういったことに留意しながら、記録体制を構築する必要があります。

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