中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識(8) ~統制活動、会社のルール/手続は目的/リスクに即して設定する

中小企業でも知っておきたい内部統制(管理)の知識、いよいよ、統制活動です。統制活動、会社の管理活動の中心であり、今後は具体的な管理手法にふれていくことになります。今回は、概念的な議論をします。

統制活動とは

COSOでは統制活動は以下のように定義しています。「統制活動は、目的の達成に対するリスクを低減させる経営者の指示が確実に実行される
のに役立つ方針および手続を通して確立される行動である」。つまり、会社内における、従業員の行動を規定する方針(ルール)であり、手続を指します。

たとえば、職務分掌、職務権限といった役割分担、社内規程/マニュアル、予算によるモニター、会社財産の保全、承認行為、ITアクセス制限等があります。

目的とコストのバランス

統制活動、その目的とコストのバランスを考えて設定することが非常に大切です。目的、といえば、経営目標(経営戦略)の達成という攻めの部分と、リスクへの対応、という守りの部分があります。目標達成という観点からは、例えば、営業部隊に予算を引いたり、また営業日報等により活動を報告させることにより、予算売上高の達成を目指す、ということが考えられます。また、リスクへの対応ということでは、預金なんかは換金性が高く不正に流用されるリスクが高いため、ネットバンクや印鑑にはアクセス制限を引いたり、承認は偉い人が行ったりもします。このように、目標達成に強く影響する部分、リスクの高い部分は統制を強化して、より、目的に即したように統制活動を強化します。

他方、統制をかけすぎると、その分コストが増えてしまいます。システムを入れれば、導入費用、運用費用がかかってしまう、承認者を多くすればその分時間がかかってしまい機動的に動けない、といったことがあります。そのため、目的とコストのバランスを考えて統制活動をかける必要があります。

中小活動における統制活動を考えるにあたっては

中小企業、ということでなかなか統制活動にコストをかけることは難しいとは思います。そこで、目的により即したところ、リスクの高いところをあらかじめ洗い出して、少なくともその部分については統制をかける、ということが大切です。特に、特定の個人に業務を丸投げしてしまうこともありますが、その場合はその人に関するリスクが高くなるので、ある程度は目をかけることが必要です。また、人数が少ない場合、業務が複雑でない場合は、自分の目が行き届くので、それほど統制を強くしなくても大丈夫かもしれません。

まとめ

統制活動、特定の目的を達成するための仕組み(方針、手続となります。)となります。そのため、目的やリスクをふまえ統制活動のレベル、手法を決めていくことになります。くれぐれも前例にしたがう、管理のための管理にならないようにしたいですね。

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