会計学とその近接領域への誘い(4) ~財務会計論と簿記

財務会計論、これは財務諸表論とも言われます。実際にこの財務会計論とはどのような領域なのでしょうか。財務会計と簿記、その関係をみつつ、内容に迫っていきます。

財務会計論とは

財務会計論、これは日々の取引の会計処理、財務諸表の表示等について、その基礎となる概念や考え方を検討する領域となります。そのため、具体的な取引をどう処理するか、というところより、もう少し抽象的な考え方から学ぶこととなります。

財務会計論と簿記との関係

財務会計論と簿記、対象となるのは日々の取引の会計処理や財務諸表の表示を取り扱っていることは共通しています。

ただ、簿記のほうは「どのように処理するか。」ということ、つまり、how に焦点が当てられています。一方、財務会計論では、「なぜ、そのように処理をするか。」つまり、why や、「どのように処理すべきか。」 should do に焦点を当てている。

例えば、企業が物品を販売する場合、①物品の販売を受注する、②物品を顧客に引き渡す、③代金を受領する、という3つのプロセスからなっております。この場合、簿記では、②の段階で 借方 売掛金、貸方 売上という会計処理を行う、ということを焦点をあてます。他方、財務諸表論では、なぜ②の段階で売上を計上するのか、という「なぜ」というところを検討してきます。これは、実現主義、引き渡し基準という考え方を採用しているからです。

このように、財務会計と簿記は検討する領域は共通しているのですが、そのアプローチの方法が異なっているといえます。

勉強方法

この2つの領域、まずはどちらから勉強すべきでしょうか。まずは、簿記から勉強すべきでしょう。というのは、財務会計では「なぜ」に焦点を、といいました。ただ、そこに入る前に、実際どのように処理しているのか、ということがわかっていないと、理由だけ取り出されても難しいかと思います。また、財務会計で取り扱う概念は抽象的なことが多いので、まずは具体的なところをおさえておいて、そこから抽象化していかないと、なかなか進めにくいところがあります。

ある程度、簿記の学習が進んだら、財務会計論に入ると比較的スムーズです。そして、財務会計で抽象的な概念を学習しているときでも、簿記で学んだ具体的な処理を意識していると勉強しやすいでしょう。

まとめ

財務会計は “why”、簿記は”how”を学びます。どちらも、同じ領域を取り扱っているので、車輪の両輪、ということができるでしょう。

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