会計学とその近接領域への誘い(8) ~財務分析

これまでは主に財務会計を行う側、つまり財務諸表を作成する側に側面を当てて書いてみました。今度は、財務諸表を利用する側に焦点を当ててみます。

まずは増減から

まずは、財務諸表の各項目の増減を見ます。例えば、売上が伸びていればビジネスが拡大している、ということが言えるでしょう。また、特定の項目が大きく変動しているときには、そこにビジネス上の特色、課題が現れている可能性があります。このように、単純に財務諸表項目の増減を見るだけでも会社の状況をある程度は把握することができます。増減を分析するのは、最も簡単な財務諸表の利用方法なので、まずはこれから見るといいでしょう。

次に比率をとって

その次には比率を取ってみることも有用です。例えば、利益が増えている、といってもそれはビジネス規模が拡大したのか、収益性が向上したか、それだけではわからないですよね。ここで、例えば売上高利益率をとってみると、ビジネス規模が拡大した場合には利益率はそれほど増加しないのですが、収益性が拡大した場合には利益率は伸びているはずです。このように比率を取ってみると、単純な増減からはわからないような、会社の状況を把握することができるようになります。

財務分析では、数々の比率をとることによって、会社の状況を分析していきます。ただ、その数値の計算方法だけではなく、趣旨を理解することが必要でしょう。

同業他社とも

最後に同業他社とも比較してみるといいでしょう。そうすることによって、業界と比べた場合の会社の状況がわかります。例えば、自社の売上/利益ともに10%伸びていたとしましょう。これだけみるといい兆候ですよね。ですが、同業他社が売上/利益を20%ずつ伸ばしていれば、むしろ自社は同業他社と比べて立ち遅れている、ともいえます。

ただ、同業他社比較というのはいくつか難しい点があります。まず、どう同業他社を定義するか。今の会社は大きくなればなるほど多角化しているので、単純に比較できるかという問題に直面します。また、非上場会社は財務諸表をあまり公開していないので、情報の入手が難しくもあります。

まとめ

このように財務諸表の利用/分析にはいくつかの手法があります。これらを用いて効率的に財務諸表を読み解くようにしましょう。

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