会計学とその近接領域(9) ~財務諸表監査

このシリーズも、もう9回目となりました。今回は、財務諸表監査について。そう、公認会計士の独占業務である、財務諸表監査についてとりあげます。

財務諸表に信頼を与える

財務諸表監査、その目的は、企業が作成する財務諸表に信頼性を与えることにあります。財務諸表の作成者は企業であり、利用者は株主、債権者、投資家など企業の外部の人です。そうなると、外部の人達は、本当にこの財務諸表は正しく作られているのだろうか、、ということを不安に感じます。そこで、財務諸表を第3者的にチェックして、それに対して一定程度の信頼性がある、ということを表明する人が必要となってきます。チェックし、意見を表明することを財務諸表監査、実施者を監査人といいます。

監査人の資格とは

第3者的に確認するためには、その第3者についていくつかの資格要件を満たす必要があります。まず、能力的な面からは、チェック者は会計や監査に対する一定の知識、経験を持つ必要があります。そのために、試験制度、実務補修制度などがあります。また、第3者という立場を維持するためには、財務諸表を作成する企業から独立している必要があります。この独立性については、結構、厳格な規則が制定されています。

重要性を認識する

監査をするにあたっては重要性を勘案することが必要となります。つまり、財務諸表に重要な誤りがないことを確認するということです。例えば、通常、企業が作成する財務諸表について100円という小さな単位では誤りを発見することは求められません。つまり、100円では通常財務諸表を見た人の評価や判断はかわらないだろう、ということです。裏を返せば、財務諸表の利用者の評価や判断が変わってしまうような場合は、重要だということになります。

重要性については、それをどう設定するかで監査の手続や検証の範囲が変わってきます。そのため、重要性の設定については、いくつかのガイドラインが設定されております。

まとめ

財務諸表監査は財務諸表を第3者的に検証し、意見を述べることです。その目的を達成するために、色々な規則や基準が制定されています。基準体系は結構広いのですが、その基礎には上記の目的があるため、学習する際にはそこを意識することが必要です。

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