リーダーシップの有り方は状況によって変わる~指示出しから乗っかることへ

リーダーシップスタイル、いくつかの類型に分けることができます。そのうち、どのようなスタイルをとったほうがいいかというのは画一的な答えがあるわけではなく、その場の状況に依存します。それらについてまとめていきます。

独裁型

まずは、独裁者の様に、自分がなんでも決めてしまうようなありかた。つまり、日々の細かいところまで報告をもとめ、詳細に指示を出し、それに全部従わせる、という方法です。基本的には上司は部下の意見は聞かない、というやりかたです。このようなリーダーシップをとると部下は上司の考えどおりに動くようになります。

この場合のメリットは上司がほぼ全て部下の行動を掌握することができる、ということにあります。また、部下が新しく入ったり、スポットで入ってきたりして、仕事に習熟していないような場合には、指示を細かくしたほうが仕事がしやすかったりします。

一方で、この場合上司が全て部下の仕事を指示するため上司の負担が大きくなります。ある程度上司に仕事が集中すると、指示を出しきれなくなり、仕事が止まってしまうケースもあります。また、部下の自主性をおさえる形になるので、部下の個性や能力を活かすことができにくくなるのと、部下が仕事に習熟している場合は仕事にモチベーションが持ちにくくなる、ということがあります。

つまりは、このスタイルは少人数で、あまり部下が仕事に習熟していないような場合に適していると考えられます。後は、単純作業が多いような業務でもこの方法は有効です。

民主型

次に部下の意見をある程度聞きながら、上司の方で意思決定していく、という方法があります。まずは、仕事をふってみて、部下に方法を考えさせて、それの意見を聞いたうえで、最終的にはディスカッションしたうえでどうするかを上司が判断します。部下は自分の意見を持ったり、表現したりしますが、最終的には上司の判断となります。独裁型と比べると、部下の自主性は保たれますが、そうはいっても任せる、というまではいきません。

この場合のメリットは、部下の意見をベースにするために部下のモチベーションがあがります。また、上司と部下の意見がぶつかることになるため、よりよいアイデアの創造につながります。上司も全てのことを掌握しているわけではないので、部下の視点が入ることにより見落としが少なくなります。

他方、この方法は部下がある程度意見を持っていないとそもそも成立しません。この場合は、結局、詳細な指示を出さないといけなくなるため、独裁型をとらざるを得なくなります。また、部下と上司の考え方や価値観が異なると、お互いストレスがたまります。特に、例えば、部下は作業のスピードを重視し、上司が作業の質を重視すると、食い違いが多くはなります。ある程度は仕方がないことなのですが、これが極端になると辛いでしょう。また、上司は完全に任せてしまうわけではないので、それになりな負担というものもあります。

結局は、このスタイルはある程度の人数がいて、部下もそれなりに仕事に習熟している状況がよさそうです。また、仕事の性質も単純作業であるよりは、ある程度複雑で考える必要があるものでしょう。また、上司はある程度部下の面倒をみるので、あまりにも大きな組織、ということはなさそうです。

神輿型

これは、上司は部下にほぼ全て仕事を任せきり、簡略な報告程度と大ざっぱな指示を与えていく、というような方法です。上司が出るのは、大きな節目のミーティングや全体的な報告性の決定があります。また、部下が心地よく働けるような環境づくりもこのタイプの上司の大切な仕事であります。例えば、営業部隊を率いている部長とかであれば、お客さんの前に出ていくより、むしろ、社内の根回し等を行い、営業の前線に出ている人が働きやすい環境を作る、ということも通じるでしょう。

この場合のメリットは、うまく回ると上司の負担は非常に少ない。また、一方で、部下は自分の裁量で仕事を進めることができるので、モチベーションは高くなります。うまく、部下をバックアップできれば、部下の仕事がますますやりやすくなり、うまく仕事が回っていきます。

デメリットは、部下に任せきることになるので、部下の能力が相当程度高くないとこの方法は採用できません。特に部下が失敗した場合、失敗の影響が非常に大きくなり、それを上司がかぶることとなってしまいます。そのため、どこまでまかせて、どこからは自分がするか、という線引きが重要な課題となってきます。

このスタイル、大人数を統べる場合のリーダーシップスタイルといえるでしょう。社員 10,000人の大会社の社長となれば、全部見ることは不可能なので、部門を区切って仕事を任せていくということになるはずです。また、異動等で上司として別部門に行く場合。そうすると、その部門の業務は部下のほうが知っているので、部下に任せるというスタイルを取った方がうまくいくケースがあります。

まとめ

リーダーシップスタイルは以上の3つに類型化できます。それぞれ、状況により有効なスタイルが変わってきます。もちろん、自分の好みというものもあるので、それとの兼ね合いとはなりますが。一般に、独裁型、民主型、神輿型とあがるほどマネジメントが難しくなります。やっぱり、指示を出しているほうが安心なので、そうしてしまいがちです。組織の上部に上がれば上がるほど神輿型でやっていく必要があるので、徐々にそのスタイルを習熟する必要があります。

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