注意!NPO法人の監事をたやすく引き受けない、ということ

NPO法人の監事、特に会計や法律に携わっている人は依頼されること、往々にしてあると思います。気軽に引き受けないほうがいい、というのが今回のテーマです。

一番、問題になるのは、自分の意志でやめることができない、ということ。NPO法人法においては、少なくとも、理事3人、監事1人をおく、とあります。どういうことか、というと、辞任をして辞任届を出しても、後任がいない限り認められず、登記することができない、となります。通常、自分で後任を探すのは難しく、代表理事に頼むのですが、代表理事側が動かないと、そのまま監事でい続けないといけない。

もう、1点は監事は権限と責任が重たい。ここで、一つ質問ですが、株式会社の監査役とNPO法人の監事、どちらが責任が重いと思いますか。実は、NPO法人の監事のほうが責任は大きい。というのは、NPO法人の監事は業務監査と会計監査の両方をする必要があります。他方、株式会社の監査役は定款により会計監査だけに権限と責任を限定することができます。すなわち、監事は、法令定款違反をモニターしないといけないので、そのNPO法人から目を離すことができなくなってしまいます。

そして、監事は通常報酬をもらえません。役員のうち、報酬をもらえるのは、3分の1以下の人となります。代表理事、とか、理事が報酬をもらうことになり、監事には報酬はもらえない、ということになります。無報酬、ということは、例えば報酬が無いことを理由に自分の責任を放棄することはできず、これまた、監事が一方的に責任を負う余地を生むことになってしまいます。

ということで、監事はむやみやたらに引き受けるべきではない、というのが、ここでの結論となります。

どういう時に引き受けてもいいか。2つ条件があると思います。一つ目は、代表理事、理事との人間関係や誠実性。もう一つは、自分がそのNPO法人の理念や活動に共感できるか。両方満たせば、引き受けてもいいのでは。より大切なことは後者です。というのは、人間関係はものごとがうまくいかなくなると、悪化する性質があるので、ここだけに依拠するのは結構危険です。

最後に制度としての提言を。やっぱり、今の制度だと、NPO法人の監事には結構な責任と負担がかかります。せめて、自分の意志で辞任できるようには制度がなっているべきでしょう。例えば、役員が辞任を希望した時には素直に辞任ができ、その6か月以内に後任が見つからない場合はNPO法人の解散要件に該当する、といったところでしょう。

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