国際税務についてまとめてみました(9)~租税回避の阻止

国際税務についてまとめてみましたシリーズもいよいよ9回目となります。今回は、国際税務の目的のもう一つである国際的租税回避の阻止をとりあげてみました。

国による税制の差

国によって税制や税率は大きくことなります。例えば、日本は法人税等実効税率が40%程度となっており、他方、香港やシンガポールといった国においては、法人所得税の税率は20%を下回ります。このように税率一つをとっても各国家の間で大きく異なります。

また、いわゆる発展途上と呼ばれる国においては、外資優遇制度をとっていることも多くその場合外国企業は各種恩典を享受することができます。

税制の差による節税

そのため、往々にして国家間の税制の差を利用して、企業グループ全体の税額を低く抑える、という節税策を取ることがあります。具体的には、税率の安い国でなるべく課税所得を計上するようにして、他方で税率の高い国ではあまり課税所得を計上しないようにする、ということをします。そうすると、グループ全体の課税所得は低く抑えられます。

節税策を適度に防止する

企業にとって税金は費用の一部を構成するため、節税策をとり費用を抑えるのは、事業活動としては当然すべきことです。その一方で税率が高いとされた国家では、このような節税策をとられることにより、税収が減ってしまう、という問題に直面します。そのため、節税防止策をとり、国際的な節税行為についてある程度の歯止めをかけるようにしております。

ただし、このような制限をかけるとそれが国家をまたがる事業活動を制限することにもなるので、このへんのさじ加減が難しいところです。

まとめ

このように国家は国際的な節税行為について一定の規制を設けています。次節以降ではそのような規制についてとりあげます。

会計/税務/監査