国際税務についてまとめてみました(2)~租税条約

一応、「国境を超える会計人」を名乗っている(?)ので、少し会計税務のことを書いてみます。今回は租税条約の意義について自分なりにまとめてみました。前回似たようなことを書いているのですが、それを少し丁寧めに書いてみました。

http://www.crossborder-accountant.com/relataionship-between-tax-law-and-treat

課税権の制限

租税条約(tax treaty)は国家間の課税について調整するための取決めです。これは、主に各国間の課税権をそれぞれに制限するような規定となっております。例えば、契約締結国内での利息に対する源泉税課税は10%を上回らない、といったような規定となっております。OECDで租税条約のモデルを発行しており、概ねこれにそった内容となっているはずです。

条約条約と国内法の関係

租税条約と国内税法の優先関係については国家間の取り決めである租税条約が優先します。ただし、租税条約の特徴として、新たな課税関係を作るものではなく、すでにある課税関係を修正する取決めです。これらをふまえると具体的な適用状況は以下のとおりとなります。

①国内法と租税条約において同一の事象について相反するような規定になっている場合は、国内法の規定を租税条約に基づき調整

②当該事象について国内法しか規定がない場合は、国内法に基づき規制。

③当該事象に租税条約しか規定がない場合には、当該事象に対してはなんら規制がかからない。

以上より、国家間をまたぐ事象の課税関係を調べるためにはまず国内法の規定を調べ、そこから関連する租税条約をあたります。

租税条約の内容

租税条約は条約モデルがあることもあり、各国においてそれほど内容が異ならないようです。具体的な規定内容としては、対象税目、居住者、恒久的施設、事業所得、利子、配当、使用料、人的役務、2重課税の排除、相互協議等があります。具体的な内容については、今後ふれいくことになろうかと思います。

これだけだとなにをいっているかわかりにくいので、次回以降、利息に対する源泉税を例にとって説明します。

まとめ

租税条約が国内法より納税者にとって有利な規定を置いている場合、租税条約が優先します。これをもって、租税条約は各国の課税権をお互いに制限している、ということになります。このように課税権をお互いに制限することにより、国家間の2重課税を防止しているわけです。

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