相続税対策の教科書には、土地付きのアパートを建てるといいと書いてありますが

相続税対策、財産を持っている人にとって、考えておきたい事項です。典型的な相続税対策として土地を買ってそこにアパートを建てる、ということがあります。ただ、個人的には、確かに税金は下がるけどね、、、と、思います。今回は、そんなことをば。

このスキームで税金が安くなるメカニズムは、土地と建物の相続税評価が安くなること。一般的に土地の相続税評価額は時価(公示価額等)の7〜8割、だと言われています。つまり、土地を買うと相続対象財産の評価額を下げることができます(厳密には買ってから3年は時価のままですがこれについては詳細は省略)。あと、土地も建物もアパートを人に貸していると評価額は安くなります。相続税は相続財産の評価額に税率をかけて計算するので、評価額が安くなれば税金も安くなる、というわけです。

ですが、このスキームにはいくつもの課題があります。まずは、必ずしもアパートが安定的に収入をあげるとは限らない、ということです。アパートがずーっと満室であれば、安定的に収入が上がります。ですが、ある程度空室が出てくると、アパート経営はほとんど固定費ということもあり、利益が上がらず場合によっては損失になります。日本人は築浅を好むので築が古くなればなるほど空室が出やすくなります。あと、家賃の未納、事故、天災、修繕等々で費用がかかる、ということもあります。

次に、相続人は果たしてアパート経営をしたいか、ということがあります。アパート経営、結構、手間がかかります。家賃等のお金の収受、アパートの修繕/改装、延滞等トラブル対応、記帳/確定申告等等。もちろん、アパート管理は管理会社に、確定申告等は税理士に任せるのは可能ですが、それはそれでお金がかかります。特に、相続人が会社員だったりすると、会社での勤務の他にこのような負担があると辛く感じるかもしれません。好きな人であればいいのですが、そうでないと、後で禍根を残します。

あと、土地や建物は分割することが難しい。お金であれば、相続人の人数に応じて如何様にでも分けられます。ですが、土地や建物を均等に分割するのは難しい、、。分割が難しい、、、ということは、相続人間の利害調整も難しくなり、揉め事の要因となります。

最後に気にすべきは納税資金。相続税が発生したときに納税資金が必要となります。金銭であれば、相続した財産の何割かを相続税の支払いに回せばいいのですが、土地や建物だとそれが困難です。もちろん、相続人の手元に資金があればいいのですが、ないと辛い。延納や物納という手もあるのですが、とはいえ、それはそれで手続きが大変ですし、必ずしも認められるとは限らない。相続納付のために、物件を手放すとなると、時間に制約があるので買い叩かれる可能性もあります。ということで、納税資金があるとは限らないです。

ということで、相続対策として、土地を買ってアパートを建てる、というのは、税金は安くなりますが、その他もろもろ面倒なことが生じます。そのバランスを考えてから、このようなスキームを採用する必要があるでしょう。

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